すべてのいのちのウェルビーイングって?

この内容は、一般社団法人ウェルビーイングデザインの投稿(2026/02/28)と同様となります。


トークイベント「すべてのいのちのウェルビーイング」@アドベンチャーワールド

ーーーこのイベントは、学問・人材育成、行政・まちづくり、経営・ビジネス、そしてテーマパーク・動物たちそれぞれのフィールドでウェルビーイングを体現している4人のゲストをお迎えして、自然と動物いっぱいのパークでさまざまな切り口でウェルビーイングを紐解きます。(公式インスタグラムより

 特に印象的だったのは、すべてのいのちのウェルビーイングということで、動物のウェルビーイングについてのお話でした。

 副園長の中尾氏のお話からは、アドベンチャーワールドとして動物のウェルビーイングのためにどのような工夫をされているのかについて知るヒントを沢山いただきました。

一番左から東京大学大学院の鈴木寛氏、アステリア(株)平野洋一郎氏、アドベンチャーワールド副園長の中尾建子氏、当法人の前野、モデレーターの島田由香氏(写真:筆者撮影)

動物の幸せな暮らしを実現する ~環境エンリッチメントの取り組み~

 動物のウェルビーイングについての中尾氏のお話の中で、動物が自然に近い行動を取れるような暮らしを実現するために、飼育環境に工夫を凝らしていることを知りました。イベント後に動物園における動物福祉の実践について調べていくと、それは「環境エンリッチメント」と呼ばれる取り組みだと知りました(Environmantal enrichment)(1)。

 エンリッチメントの種類は多様で(2)、種類は、採食・社会・認知・感覚・空間の5つに分類されます。

 採食の例だと、単に餌をあげるのではなく、餌を隠して探索行動を促したり、肉を骨付きで与えてみたりといった、動物たちが餌を食べるときに楽しめる工夫がされています。ライオンの場合、野生の環境に近づけるために、週に3日が給餌の日で、残り4日は絶食日とのことです。

 アドベンチャーワールドでもこのような環境エンリッチメントの取り組みを行うことで、動物のウェルビーイング、つまり野生に近い幸福な暮らしの実現を目指しているそうです。このように、動物たちが野生本来の採食行動ができるよう、人間中心ではなく、動物中心で考えて行動されているとお話されていました。動物も単に餌が与えられるのではなく、多様な食べ方の選択肢が与えられている点が印象的でした。

社会課題解決にも…農作物のフードロスや獣害問題も解決!

 また、環境エンリッチメントの工夫の一つとして、アドベンチャーワールドでは、季節のおやつとして、イチゴや柑橘類を与えているようです(3)規格外の農作物を与えているので、フードロス問題の解決にもつながります。

 さらに、交流会では、普段は動物の餌の準備を担当している職員の方より、職員の中には、狩猟や食肉処理に必要な免許を持っている方もおり、和歌山県内のイノシシやシカになどのジビエを動物の餌に活用できないか模索しているお話も伺いました。海外から輸入している生肉の代替として、地域資源を活用する可能性を探る積極的な姿勢に、長い間お話を聞き入ってしまいました。

 実現できれば、獣害問題を解決する1つの方法となりそうです。ただ、課題としては処理や加工の手間がかかるとのことでした。(4)

交流会にてスタッフの皆さんと (写真:関係者撮影)

 動物園でジビエを採用する利点は、精肉されたものとは異なり、骨や皮、毛が付いたままの状態をかみ砕くという本来の行動を促すことで、動物のストレス軽減にもつながり、健康や心理的なウェルビーイングにつながる点だと考えられます。

 また、いのちのつながり/循環を来園者に伝えることもできます。ただ、先ほどもお話した通り、低温殺菌など適切な処理が行われる必要があるため、安定的な供給や提供体制への課題が残っています。

 このように、「動物の幸福」「地域の持続可能性」の架け橋となっているアドベンチャーワールド。

 ほかの取り組みとしては、ジャイアントパンダが食べ残した竹をアップサイクルし、アオリイカの産卵床として、海に設置。アオリイカの産卵が見られたり、海水温の上昇や藻類を食べる生物の増加によって変化していた白浜の海ですが、生物多様性の回復の兆しが見られています(5)。

 取り組みを知れば知るほどその魅力に気が付かされますが、今回私が捉えられたのは、すべてのいのちのウェルビーイングを追求する企業理念のほんの一端に過ぎないのだとも感じています。

サファリエリアにおける空間の環境エンリッチメントの様子;開放的な空間(写真:筆者撮影)

 アドベンチャーワールドでは、動物だけでなく、そこで働くスタッフの皆さんもとても生き生きとされていました。

 和歌山 Well-being Monthのプログラム内のペンギンフルネスやホースコーチングなど(6)まだまだ紹介しきれていない魅力はありますが、トークイベントをきっかけに、べてのいのちのウェルビーイングとは何か、その輪郭に触れることのできた時間でした。

 東京方面からだと南紀白浜空港からバスですぐですので、またぜひ訪れて、ホースコーチングもぜひゆっくり体験してみたいです。🐎

 さらに、身近で環境エンリッチメントの活用例はないか、気になっています。


参考・引用文献

(1)市民ZOOネットワーク「動物園とエンリッチメント」http://www.zoo-net.org/enrichment/outline/outline.html (2026/2/27閲覧)

(2)市民ZOOネットワーク「エンリッチメントの方法」http://www.zoo-net.org/enrichment/outline/outline2.html(2026/2/27閲覧)

(3)アドベンチャーワールド「SPRING ADVENTURE 2025 フードロス削減×動物のエンリッチメント!地元農家と動物たちをつなぐ「フードロスを減らそう!どうぶつのおやつバケット」販売」 https://00m.in/xISpx (2026/2/27閲覧)

(4)ジビエト「動物園の動物たちに鹿や猪を与える意味とは!? 獣害問題、環境エンリッチメント、SDGsに取り組む“屠体給餌”を実践「豊橋総合動植物公園のんほいパーク」愛知県豊橋市」https://gibierto.jp/article/feature/interview/11488/ (2026/02/27閲覧)

(5)アドベンチャーワールド「“パンダバンブープロジェクト” パンダの食べ残した竹が、海のいのちを育む礎に アオリイカ産卵床設置活動 4年目へ 新たに「環境DNA調査」も開始」 https://www.aws-s.com/topics/detail?id=top4301 (2026/02/27閲覧)

(6)アドベンチャーワールド「馬と人が創るホースコーチングプログラム」https://www.aws-s.com/horse_coaching/ (2026/02/27閲覧)

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